〜「実験しよう、ラボしよう。」未知のものとの遭遇から学ぶ〜清水謙さんインタビュー

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清水謙さんインタビュー

今回インタビューしたのは、茅ケ崎にあるコワーキングスペースであるチガラボのオーナーであり、WORKATION ShonanというTAKURAMIをしている清水謙さんです(以下清水さん)。

ワーケーションとは「ワーク(労働)」と「バケーション(休暇)」の合体したもののことです。
基本的な意味は観光地やリゾート地でテレワークを駆使し、働きながら休暇を取るといった新しい働き方です。まさに今の世の中にピッタリな働きかたなのではないでしょうか。でも清水さんの行っている「ワーケーション」は少し捉え方が違います。

清水さんは商社でお勤めになった後、ITコンサルタントを経て、経営コンサルタントとして起業しています。
また、先程も書きましたがチガラボのオーナーとしての一面もあります。私は、事前に清水さんのことを調べた時にこの経歴に驚くとともに清水さんのことをもっと知りたくなりました。そして実は私の将来の目標はコンサルタントになることです。TAKURAMIのことはもちろんコンサルタントとしての経験もたくさん聞いてみました。(むしろそっちの内容が重厚になってしまったかもしれません(笑))


岩田:「それではインタビューの方を始めさせていただきます。今回は清水さんの行っている「WORKATION Shonan」の活動やチガラボのこと、そして実は僕自身将来コンサルタントを目指していてそのお話も聞いてみたいと思っています。本日はよろしくお願い致します。」

清水さん:「よろしくお願いします」

岩田:「まず始めに「WORKATION Shonan」の具体的な活動を教えてください」

清水さん:「ワーケーションをしたい個人や団体にワーケーションに関するイベントやワーケーションを行う場を提供しています。そして「WORKATION Shonan」は三つの軸をもとに活動しています。
一つ目にリサーチ・情報発信です。そして二つ目にワーケーションプログラムの提供、三つ目にサードプレイスの提供です。
直近で言うと年間で何回かイベントをしていて、例えば、藤沢市の生涯学習をやる部署で「湘南らしい働き方」を考える講座というのをやっていて、これは主に藤沢市、湘南に住む人に地域らしい働き方を考えようということをテーマにしたワークショップを提供するという活動をしました。」

岩田:「ありがとうございます。なぜこの活動を始められたのでしょうか?」

清水さん:「ワーケーションに関しては3年くらい前に元々チガラボの中で言っていたのかな?
地域に関心があるのかなとか、そういったものに関心のある人が集まっているので、そういった人たちが活動するために、ワークとバケーションの融合が湘南エリアらしいということで始めた感じですね。
実際の仕組みとしては実験的なコミュニティとしてチガラボなどのコワーキングプレイスがあって、そしてその場に入っていきやすいように湘南ワンハンドレッドPRJみたいなものがあって。その活動を行う場として「WORKATION Shonan」があるという位置づけです。
そして、働き方改革で自分の働き方を考えたい人も増えていたと思うので「WORKATION Shonan」みたいな考え方を生み出そうとしました。
人を動かすための企画手段として「WORKATION Shonan」を動かしたといった感じです。
それらの活動から生まれてきたプロジェクトが今のTAKURAMIなんです。
全ての真ん中にあるのがチガラボ、そのきっかけにするためにWORAKTION Shonanを位置付けた感じですね」

清水さんインタビュー

写真は実際に「WORKATION Shonan」の仕組みの説明に使用してくださった図。このように三つの場に複数のプロジェクトが関わっている。

岩田:「ありがとうございます。WORKATION Shonanという地で行うことの、清水さんの思ういいところはなんですか?」

清水さん:「湘南で働き方が大きく違うところといえば、「程々距離感」みたいな地域特性で、自然が身近にあって、地域の持つ独特の緩い雰囲気だとか、「自分らしさ」を大事にする人が多くて。実際に距離感や自然などよりもここが特徴的だと思っていて、これから活動をしようとしている人のお手本になったり、モデルケースになるような人がもう既にいるというところが大きいと考えています。それこそが湘南でやることの意味。湘南の醸し出す空気だったりとか、非日常感だったり、ちょっとした非日常を生み出す空気とかの非日常感がワーケーションをする上でいいと思った。」

岩田:「ありがとうございます。やっぱり湘南だからこそですか?」

清水さん:「そうだね。どローカルの過疎地とか社会課題が深刻化した地域だと、なんだか切羽詰まった状況でやらなきゃいけないけれど、湘南みたいなある程度人口も微増しているような地域で、住んでいる人たちも裕福で余力があるエリア特性で、「楽しみ」とか「自分らしさ」を出せる湘南特有の空気を生かせると思いますね。」

岩田:「湘南ならではの余裕さが新しいものを生み出すきっかけになってるんですね」

清水さん:「余裕とか余白が、遊びだったり、自分らしさを推した活動になりやすいのかなと」

清水さんインタビュー

岩田:「ありがとうございます。WORKATION Shonanをやっている中で印象に残っているエピソードとかあれば教えてください!」

清水さん:「一つはさっきも言った通り最初は自然があるからというより、既にそういうことをやっている人がいるから新しいものが生まれやすいのかなと思っていたんですね、その時に、とあるイベント参加された人の中から、そういうことについて研究をしている人がいて自然環境から影響を受けるものよりも、人から受ける影響の方が大きくて、面白い働き方をしているのは理にかなっているということを言っている人がいて、やっぱり地域の特性というのはこういうことかというのを再確認することができた経験でした。
あとは、色んな働き方の幅を広げてみて、オンラインなどのツール使ってみたり、体を動かしてみたりとか、やってみてモードを変えてみたときに、そこにいる人の雰囲気とか、やる気とかに大きな変化が見られて、(湘南なら)日常よりもリラックスした状態で物事を考えられるのかなと。
あ、あと藤沢市の講座に参加しているひとに多く見られた話で、ワーケーションの話で働き方のやり方に目が行きがちなんだけれど、自分が誰に対してどんな価値を生み出す仕事をしたいのか、どういうやり方、働き方でやるか考えるきっかけになるので、(ワーケーションは)場所を変えるとか自然の中でパソコンを開いてという場面が出されがちなんですが、最終的にはその人が誰の役に立ちたかったのか、そこにどんな価値を生み出したかったのだろうということを考えるきっかけになるということはワーケーションをやっているとすごい思うところというのがありますね。」

岩田:「そんな考え方もあるんですね。この活動で次に何をしたいとかの展望はありますか?」

清水さん:「話に出るのはお寺ワーケーションですかね、島とか江ノ島はもちろんかもですけど、もう色々やったので、畑とかキャンピングカーとか江ノ島とか…
こういうのは賑やかしとしては面白いんだけど、それ自体はそれほど効率的な話ではないので、やってみた中でプラスの効果が大きそうだとか、既に取り入れているのならばやってみようかなと思っています。」

岩田:「さっきちょっと話に出たと思うのですが、コロナ禍だからこそのワーケーションが生きる活動を考えていたりしますか?」

清水さん:「人が集まるということは難しいと思うのですが、人が集まれる範囲が、心理的安全を保てる場所でやらなくてはいけないのは現状なんですね。コロナによってどういう範囲で有ればいいのか選びあっている状況で、集まって何かをするというよりは、その人にとって快適なワークスタイルを探すことを呼びかけていければなと思います。それも一種のワーケーションのようなものなのかなと」

岩田:「確かに自分も自室で狭い机の中で色々としているんですけど、ちょっと場所を変えたいなとか、ちょっと息が詰まる感じなので、オンラインだからこそ場所を選ばないワーケーションという考え方が生きるのかなと思うので、参考にさせてもらいたいです。」

清水さん:「でもやっぱり現場がいいよね(笑)。」

岩田:「そうですね(笑)
一回だけ大学行ったんですけど久しぶりに楽しくできたのももちろん身の引き締まる感じもしてよかったです。現場大事ですね(笑)。
ここから少しお話が変わるのですが、事前に清水さんのことを知るために少し清水さんのご経歴を調べました。とても興味深い経歴をお持ちだなと思ったのですが清水さんの経歴をお教えいただけますか?」

清水さん:「最終的に引っ掛かったのが100数人くらいの専門商社で、宝飾品を扱っているところでした。入社早々ダイヤモンドの担当になって、買い付けのためにイスラエルに飛んだりしました。
その後、物に落とし込むのが飽きて、無形のものとか知恵知識関係のものをやりたかったから、パソコン好きだったということもあって、ITコンサルかなと。
その時入社したのが、結構小さい会社でなんでもやる感じだったので、最初の現場でサーバーが吹っ飛んで徹夜で直すみたいなことをやったり、外資系の銀行の引越しプロジェクトで10人くらいのチームに入って、2日くらい徹夜で機器の設定とかしまくるみたいな。」

岩田:「えぇ…」

清水さん:「その期間は段ボールと新聞紙で寝るみたいな感じで、ITの下働きから上級のことまでやっていたかな。
結局、そこは2年くらいで、その後2年で情報セキュリティコンサル事業のとある電気系の商社の子会社として新たに作られた会社で働き始めました。色々とやっていく中で会社の状況が悪くなって、社長と専務の喧嘩になって、追い出された専務一派に思われて干されることがあって辞める決断をした。
そして3ヶ月間くらいフリーな状態で仕事をしていて、そのまま独立してもいいかなと思っていたんだけど、就活もしていて、そのときに人材紹介会社から事業立ち上げのポジションがあるんですとのことで、リクルート系の会社で、そこは最初はIT系で勤めて、その後に社内異動を希望して人材育成とかコンサルティングの部署に配属されたんだよね。
でも、その会社でITからコンサルへ異動した人はいなくて、でも(ITコンサルの)経験から意外に大丈夫だったんですけれど、人とか組織を扱うところなのに最初組織が痛みすぎてて、若手のコンサルタントが出社してきたときに、挨拶するとうるさいから挨拶するなみたいな。」

岩田:「それはひどい…(笑)」

清水さん:「会社が会社なので大手のクライアントの組織課題を、解決してきた。
今も同じような悩みを解決しているんですよね。
人が育たないみたいな話や、管理職の育成だとか、組織と人に関わるお悩みを解決してきています。
当時から人事とかでルールを作れば解決するとかは思っていなかったから、人間同士の関わりの方が、それを組織開発と呼んでいたんだけれどそれを中心に考えていた。
今のチガラボの人や物事の動くことは、この頃の経験や学習が使われているなと思っています。
40代で(会社を)スパッと辞めて、すぐに会社を設立して、でもやることは漠然と、人とことが繋がったり混ざったりして何かが生まれることをデザインしたいということと決めていた。だけれど、具体的には何をするのかどうやってするのかは決めていなくて…。
そんなときにたまたまご縁で繋がった、ETIC.というNPOとの繋がりが今の活動のきっかけになりました。色々な地域の人との関わりができて、地域で物事が動くことに見聞きしたり、活動させてもらって、同時に茅ヶ崎で地域にもつながりを増やしたいと思った。
そんな中で畑を借りてみようと思って畑を借りたんですけれど、そこのオーナーさんがNPO法人湘南スタイルというNPOの理事長だったんです。何か自分でできるかもと色々提案させてもらって、実行に移してと、これが最初の茅ケ崎での事業のきっかけでしたね。
さっきの理事長が今のチガラボの入っているビルの元オーナーで、元々イベントスペースだったような、ただ広い空間だったのを、地域の人が何かできる空間に活かせないかということで、コワーキングスペースみたいなところにしてみてはということで、自分でその場所を借りて今のチガラボができた。何やっても大丈夫って言う場所ができたんですね。」

岩田:「こんなに詳しくありがとうございます。本当に紆余曲折で密度の高い経歴で…話を聞いていて清水さんの積極性が凄いなと思っていて、それを出していくにはどういう風にしていますか?」

清水さん:「自分は強い熱意があると言う感じでなくて、努力を重ねるタイプでもなくて、絵を描いてこれいいなと思うことを、いいよねって言う人が増えたり、集まったりすることで形になると思ってるんです。そもそも、描いたことを完成度の高いものにするつもりがなくて、作ってみたけれどどう思います?くらいに思っている、チガラボも同じ感じかな。
自分の場合、話しているときに新しいことが思いつくことが多くて、強いて積極的に動いているのは、自分からシャープな完成系が出ると思っていないから、いろいろな意見を取り込んでみること、NPOに畑の企画を持ち込んだときみたいに。
人の知恵を使った方が早いと思っていて、そっちの方が良いものができるだろうと思っているからそうしているだけですね。」

清水さんインタビュー

岩田:「ありがとうございます。次で最後の質問にしたいと思うのですが、これ、毎回恒例で聞いていて清水さんが大切にしている信条とか言葉など教えてもらえますか?」

清水さん:「実験しよう、ラボしよう」ですかね。
やってみないとわからないし、試してみないとわからないから、チガラボのメンバーさんにも、相談事とか話があると、「いつやります?何月何日?」と言うのを絶対聞く。動くなり、形にするなり、作るなり何かやってみた方が形になるので、ラボだからいいじゃないか、実験してみようと。実験してみる場があることが大事で、1人でやるより繋がりがあった方がいいし、それは多様であった方がいいし、繋がりの中でも自分の芯であるオーナーシップはあったほうがいいと思うので、この考えの中に自分の信条のようなものはあると思います。」

岩田:「ありがとうございます。とても素敵な考え方ですね。僕も積極的にlabしたいなと思います!
それでは質問は以上になります。大変長い時間ありがとうございました。とても貴重なお話を聞かせていただきました。」


50分という長丁場のインタビューでしたがなんだかとても短く、密度の濃い時間だったように感じました。上のインタビュー記事では多少割愛してしまった部分もあるのですが、長い時間清水さんの経歴を聞くことができ、私も将来コンサル業界を目指しているので大変参考になるお話をしていただきました。

最初に事前に調べさせていただいた清水さんのイメージと実際に話した清水さんではいい意味で違う印象を感じました。
筆者のイメージではコンサル業界に長くお勤めになっていて今もコンサル関係の会社を経営している人なのでなんだかお堅い人なのかなととても緊張していたのですが、実際はとても自然体で「適当」という言葉がすごく似合う素敵な人だなと思いました。「適当」といってもだらしないとかそういう意味ではなくて、言葉の意味の通りその場所にフィットしている、流されているようで芯がしっかりあってその芯をぶれることなく活動されているのかなと思います。これが「湘南らしさ」ってことなのかなと感じました。

インタビューの最後に今の学生にメッセージをいただきました。とても素敵なメッセージや考え方をお教えいただいたので是非最後まで読んでみてください。

「僕自身がこうであったらいいなと思うことなんですけど、いろいろな人といいつながりを持って欲しいということが大きいかな。コロナで分断化されたり、遠距離化しやすいし、比較的繋がる相手を選びがち。特定の中では密な情報共有をしていて、でも意図しない繋がりは、それに意味があるか考えることがあってそれに意味なくて、その判断はすぐにはできないんです。
先入観もたずに、いろんな人、謎の人に関わってもらいたい。そのときに、その人の人となりを知る。自分の判断とか物差しがあるけれど、その人の目線、その人の中では正しいことだから、当然だと考えながらも、疑問を持ち、価値観の違いを楽しめたらいいと思うな。
若いこととか、理解できる想定がつくということに、早めに安住して欲しくないし、わからないとか予測不可能に出来るだけ意識して、異質なものに触れていって欲しい。
その結果、この人に関わりたいとか思ったらどんなことでも絡んでみたらいいんじゃないかと思う。その時に大事なのはリアルな現場とか背景とか、そこを大事にして欲しいな。」

チガラボや「WORKATION Shonan」のオーナーだからこその人とのつながりや、未知のものへの遭遇から学ぶことのすばらしさをお教えいただきました。

岩田 琉汰

平塚生まれ平塚育ち。小・中・高と湘南の学校に通って、今は横浜の大学に通っています。その大学のゼミでコラボさせてもらったTAKURAMIの活動や、活動をしている皆さんの熱意に魅せられて大学生の目線で記事を書かせてもらっています。 ずっと身近に感じていた湘南・茅ヶ崎で起きている"たくらみごと"をもっと知っていきたいと思います。

舩と船が緩やかに繋がるように地域を、人をつなげたい。moyau プロジェクト